2016/03/28(月)第18回「パパは小学4年生」(ママは小学4年生)

タイトル:パパは小学4年生
サークル名:MEGAPLUS (HomePage)  作者:廈門潤さん(現・陸乃家鴨さん)
ジャンル:ママは小学4年生  購入イベント:コミックマーケット67(2004.12.28)
傾向:本編後の未来、今度は大介がタイムスリップする。


 かつて「日本テレビ夕方5時」といえば、アニメ作品の黄金時代を築いていました。中でも日本サンライズ(現・サンライズ)制作枠は非常に人気が高く、88年の「魔神英雄伝ワタル」を皮切りに、89年「魔動王グランゾート」、90年「魔神英雄伝ワタル2」、91年「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」、92年「ママは小学4年生」までの計5作品は子供たちだけでなく女性にも人気があり、同人誌においてもこれらの作品はアニメ系のメインジャンルとなり単独作品アンソロジーが発行されるほどの人気を誇り、二十年前後経った現在でも多くの同人誌が執筆されています。

「ママは小学4年生」は、当時の日本サンライズとしては珍しかった女児向けのアニメ。小学4年生の主人公・なつみが未来からタイムスリップしてきた彼女の娘・みらいを叔母や友人たちと一緒に育てていくというお話で、子供が大人を振り回したりするコメディ要素とともに親子愛・家族愛というドラマ要素が随所に散りばめられた名作でした。

 廈門潤さん(現在は主に「陸乃家鴨」さんとして活動中)もこの作品に魅せられたお一人で、近年まで「パパは小学4年生」シリーズを執筆。主人公であるなつみと大介が成長し、恋仲になっていく姿を300ページ以上にわたって描いた「夢見る時代を過ぎて」シリーズと、劇中劇を長編として描いた「銀河マン」シリーズ、そして未来でのなつみの夫・大介が未来へタイムスリップしてしまう「パパは小学4年生」の3作品を15年近くにわたって執筆されていました。今回ご紹介するのはその中から「パパは小学4年生」……小学生の大介と成長したみらいが出会うお話です。

 結婚から幾年も過ぎ、倦怠期なのか夫・大介を冷たくあしらってしまう妻・なつみ。この日も仕事で帰りが遅くなるという電話を受け、10歳になったみらいに「そんなのじゃママに捨てられちゃうよ」と言われて大介は焦ってしまう。それでも構うことなくみらいがちくちくと大介をいばっているうちに、やがて外の雲行きが怪しくなり会話中に突然カミナリが落ちて電話が途切れてしまう。戸惑うみらいがリビングを見渡すと、テレビの中からいきなり見知らぬ男の子が……混乱する彼女に、なつみが「大介ぇ?!」という耳慣れた父の名前を口にする。彼こそが父・大介の25年前の姿なのだった。

 未来から過去へ飛ばされる本編とはまるで逆の「過去から未来へ飛ばされる」という状況に、主人公・なつみでなくそのケンカ仲間であり未来における夫・大介を放り込むという奇抜な設定ながらも、未来の娘・みらいとの掛け合いも抜群で非常に軽快に読める作品に仕上がっています。なつみも大人の女性になっているものの、夫がいなくなってしまってなんとか自分で頑張ろうとする姿は子供の時と変わらず。でも、その傍らには立派に成長したみらいがいるわけで、彼女の元気さに支えられながら未来に放り込まれた謎をみんなで――過去へ飛ばされた大介を含めて解明していくという、公式に販売されていた後日談ドラマCD「ママは小学4年生 AFTER」とはまた違った「もう一つの未来」がここにあります。

 残念ながら最終話となるVol.12の本誌を購入する機会を逃してしまったのですが、現在はDLSite.comにて前者2作を含めまとめられた作品がダウンロード販売されており、容易に読むことが出来ます。色々と言われているダウンロード販売ではありますが、過去に買い逃してしまった名作がこういった形で読むことが出来るのは非常に有り難いことだと思いました。
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