2016/04/13(水)第35回「AQUAmariners」(ARIA)


タイトル:「AQUAmariners」「AQUAmariners Due」
サークル名:CO-MIX (Homepage)  作者:しのざきあきらさん
ジャンル:ARIA  購入ショップ:メロンブックス大宮店(2009.3.2)
傾向:天野こずえ作品キャラの共演


 6年以上にわたるロングランとなり、透明感のある世界観で人気を博した天野こずえさんの作品「ARIA」。同人誌なども数多く発行され、今なお活気のあるジャンルのひとつです。その中で今回ご紹介させていただく「AQUAmariners」シリーズは「ARIA」で主に描かれていた「日常」に、天野さんがかつて描かれた作品のキャラが登場してARIAの登場人物たちと交流を深めていくというとてもにぎやかなお話です。

 灯里から「ひまわり広場にあるポストに手紙を投函すると、好きな人との想いや願いが叶う」という噂を聞いた藍華。話につられて広場に行ってみると、そこには「"魔法の"」という札が下げられた怪しげなポストが。戸惑っていた藍華だったが、突然後ろから声をかけられたはずみでそのポストに手紙を投函してしまう。混乱しつつもその声のほうを振り向くと、ひまわりの花を抱えた女性が何故か藍華が投函したはずの手紙を手にしていた。

 1話目「AQUAmariners01:魔法のポスト」では、短編集第2巻「魔法の郵便屋さん」からヒロイン・綾乃*1が登場。藍華がアルに出そうとしていた手紙を届ける役目で、底抜けの明るさは原作通り。元々ARIAという作品では少し不思議な出来事が起こるということもあり、綾乃が持つ"魔法"も親和性があるなと感じたのですが、藍華のアルへの想いを手助けするという構成に「こうきたか!」と思わず膝を打つ想いでした。さらに「Due」の1話目「AQUAmariners04:いしのせいれい」では初期の代表作「浪漫倶楽部」より石の精霊・コロンが登場。こちらもARIAの原作エピソードを活かしたお話で、ただのゲストキャラでは終わらせず、きちんと彼女たちが出てくる必然性が用意されているというのが素晴らしいところ。灯里とアリア社長、そしてコロンが一緒に川の字になって寝てるシーンは微笑ましくてたまらないぐらいです。

 天野作品キャラとの共演以外にも、アリシアとグランマが灯里を見守るお話や、グランマの畑耕しを灯里とアイ、アリシアが手伝いに行くお話など、ほのぼのなお話が盛りだくさん。中でも果物屋さんのお手伝いをする灯里のお話は、アリスや原作でのゲストキャラ(「浪漫倶楽部」の火鳥と月夜の未来の姿)も交えた、彼女たちらしさいっぱいの物語でした。みずみずしい季節感があふれる表紙もとても綺麗で、しのざきさんの「ARIA」という作品への愛情をぎゅっと詰め込んだ素晴らしい作品。2013年現在も続刊しており、灯里たちだけではなくアイちゃんメインのお話なども描かれています。

*1 : アニメ版にも登場しましたが、モチーフとなった形での登場でした。

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