2016/03/17(木)第8回「星の子観測所」(オリジナル)


タイトル:星の子観測所 (1~2)
サークル名:星の子観測所 (Homepage)  作者:小楠ゆたさん
ジャンル:創作  購入イベント:コミティア in 東京87(2009.2.15)
傾向:空から降ってきた少女が、家族の一員になっていく。


 突然の豪雨とともに「星の子観測所」の屋上に降ってきた少女。全ての記憶が無いまま目覚めた彼女は観測所で生活している姉弟・てんとれんにより迎え入れられ、ともに生活を始めることに。ほのぼのとした二人のペースに馴染みながらも、時折思い出したように少女は自らが観測所に来たときのことを二人に聞こうとするが、てんとれんは状況を説明することが出来ないままだった。そんなある春の日、雨が降りそうになるのを嫌った少女がふざけ半分で「雨よー! ふるなぁー!」と両手を天にかざすと、覆っていた雲が嘘のように晴れ渡ってしまい、逆に雨を振るように願うと突然雨が降るように……少女はその能力に戸惑い、自らについてさらに疑問を深めるのだった。

 異界来訪もの……別名「落ちもの」は「うる星やつら」などの恋愛作品においてオーソドックスな手法ですが、恋愛方面ではなく家族生活方面に向けたのが本作「星の子観測所」。空(宇宙)から降ってきた「星の子」の少女・るながてんとれんの妹となり、自分の生い立ちをたどろうとしつつ楽しく生活していく様子が描かれた作品です。

 自分の生い立ちを知りたいるなに、一緒に考え合って向き合おうとするてんとるな。それはるなが持つ能力――天候を操る能力を目の当たりにしても変わらず、むしろその力を活かして手がかりをつかもうとしたりと彼女のことを導き、るなもその能力を自然に受け入れていくように。年長者であり親代わりである観測所の「所長」も三人のことを遠く海外から見守り、時には手助けしてれくたりと、同じ場所で結ばれた「家族」の縁が深まり、大切なものに育っていく様子は読んでいてとても暖かく感じられました。

 観測所の屋上で手を繋いではしゃいでいる1巻、巨大望遠鏡(かと思われる場所)の近くで寄り添い微笑んでいる2巻の表紙は、そんな3人の絆を表す微笑ましい構図となっています。ただ、るなの生い立ちについてもそうですが、てんやれん、所長についてもまだまだ謎が多かったり……彼女たち3人を軸に展開していくお話は、これからも広がっていきそうで実に楽しみです。
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