2016/03/16(水)第7回「雪のかけら」(SNOW)

タイトル:雪のかけら - the complete package -
サークル名:きゃんでぃ亭 (Homepage)  作者:本文・KGGさん 挿絵・SEIさん(HOLLY CRAFT(柊工房))
ジャンル:SNOW  購入ショップ:コミックとらのあな(2004年)
傾向:季節が戻った龍神村での日々を描いた小説


 最初の発売予定から2年後に発売され、美少女ゲーム界において「延期ゲー」の代表作と言われてしまったゲーム「SNOW」。元々はハードな内容を売りにしていたスタジオメビウスがストーリー重視のゲームを出すということで注目されていたのですが、その延期のほうがインパクトが大きくなってしまったという結果に……しかし、お話としては"時を越えた、家族の物語"を丁寧に描いたものとなっており、ビジュアル・音楽を含めて総合的非常に良い作品として仕上がっていました。

 二次創作においての「SNOW」は静かな盛り上がりに留まり、同人誌もあまり多く見かけられませんでしたが芽依子やしぐれ、桜花といったキャラが人気で様々なサイドストーリーが生まれていきました。今回ご紹介する「雪のかけら - the complete package -」はきゃんでぃ亭のKGGさんが執筆し、SEIさんが挿絵でお話を彩ったたサイドストーリー集で、季節が戻った龍神村での春・夏・秋の光景が描かれた「龍神天守閣」シリーズと、原作の過去編「Legend編」のアフターストーリーで構成されています。

「Legend編アフター」で収録されているのは、鳳仙*1が遠き時の流れの中で出会った身重な女性との話「雪花」、雪に閉ざされた龍神村の外れでしぐれが長き時を生きる決意した話「夢しぐれ」、決して叶わぬはずだった父・白桜、母・菊花、叔母・鳳仙たちとの穏やかな日々の話「空の揺りかご」の3編。「Legend編」の後ということで「別れ」や「決意」といった悲劇的、もしくは哀切な話が展開されていき、悲劇が回避されたという"if"のお話である「空の揺りかご」でも、桜花が人として生きていく中で様々な大切なことに直面していくことで、アフター編主人公の3人がそれぞれ背負うものの大きさを感じられました。

 一転して「龍神天守閣」シリーズは桜花シナリオのアフターストーリーかと思いきや、彼方と澄乃の娘として桜花がいて、一緒にしぐれ・芽依子・旭が住み込んで旅館「龍神天守閣」を盛り立てていくという賑やかなお話。フツーに経営してると思いきや、春には相変わらずあんまん中毒な澄乃が「あんまんのたくあん」を始めとしたあんまんづくしを考え出したり、夏には長い冬のせいで暑さを忘れた面々が水着やアイスではしゃいだり、秋には村の運動会ではしゃぎすぎた末に澄乃の母・小夜里が腰を痛め、登場人物たちが彼女の商店の店番でひっちゃかめっちゃかになっていったりと何でもあり。四季が戻って穏やかになった龍神村ですが、彼らには楽しげで賑やかな日々が続いていきそうです。

 やんちゃな桜花に旭、我が道を行く芽依子、どこか内罰的なしぐれと相変わらずな面もありながらも、澄乃は母の自覚を持ち、旭はお姉さんになることの葛藤を持ったり、しぐれが少しずつ時の流れを受け入れていったりと、四季だけではなく彼女たち自身の変化も少しずつ見られていったり。ゲーム本編であまりにも過酷な運命を背負っていた彼らを見ていただけに、様々な季節で幸せそうな姿が見られてとても嬉しかったです。SEIさんが描かれた絵も彼らの楽しそうな姿を描いていて、中でも「龍神天守閣一同」の集合写真は、そんな彼らの幸せが結実したような感慨が浮かぶ佳きイラストでした。

*1 : 彼女には現代における名前もあるのですが、敢えてこう書かせていただきます

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