2016/03/19(土)第10回「REGULAR CONCERT」(エッセイ漫画・吹奏楽)


タイトル:THE 1ST&2ND REGULAR CONCERT ~ THE 6TH REGULAR CONCERT
サークル名:水を得たキャベツ (Homepage)  作者:真田ぽーりんさん&そめいよしのさん
ジャンル:音楽(吹奏楽)  購入イベント:コミックマーケット51(1996.12.29)~
傾向:吹奏楽部での実話集


 吹奏楽部は楽な文化部と思われがちですが、実はそうでもない部活だったりします。春は楽器に馴染まなければいけなかったり、夏は高校野球の応援やコンクールがあったり、秋は文化祭やアンサンブルコンテスト予選があったり、冬は寒い中冷たい楽器に触れつつ練習しなければいけなかったり……学校や団体によって活動はそれぞれですが、そんな吹奏楽部での日々が描かれたのがこの「REGULAR CONCERT」*1シリーズ。トロンボーン奏者だった真田ぽーりんさんと、打楽器奏者だったそめいよしのさんのお二人による回想記となっています。

「腹式呼吸を覚えなかったら肺に穴が開く」「打楽器を叩いてると腕がたくましくなる」など、吹奏楽経験者にとって思わず何度も頷いてしまうネタが満載。「1ST」では入部直後、「2ND」では野球応援、「3RD」では合宿、「4TH」では定期演奏会、「5TH」では演奏会後、「6TH」ではアンコールとして四方山話が収録されていて、それぞれ「運動部と言ってもいいような文化部」っぷりが描かれています。中でも笑ってしまったのは「野球応援で『スカイ・ハイ』*2を吹くとバカスカ打たれる」というジンクス……いや、これって本当によくあるんですよ。その上、真夏の日差しの中に晒される部員たち。そしてお盆ぐらいしか休みの無い名ばかりの夏休み……そんなこんなで、文化的な活動をしてるはずなのにとっても運動部チックな吹奏楽部の日々が展開されていきます。

 真田さんやそめいさんだけでなく、鬼部長(と思いきや途中で……)や天使のような先輩(ソロなのにスポットライトが当たらない……)、仙人のような先輩(灼熱の球場でテューバ*3を抱えても平然としてる)といった個性豊かな部員たちも盛りだくさん。中でも少年院での演奏体験談では講師兼指揮者の先生は……ま、まあ、なんといいますか、熱いですね! と言わせていただきましょうか(実は読んだ瞬間、思わずコマの中の部員たちと同じように凍り付きかけた)。

 楽器や演奏時に関する解説なども織り込まれているので、吹奏楽経験が無い方でも楽しむことができ、吹奏楽経験のある人はさらに楽しむことが出来るシリーズです。

*1 : 「定期演奏会」の意。表紙はそのパンフレットを意識したような形で作られています。

*2 : プロレスラーのミル・マスカラスの入場曲。もしくは「鳥人間コンテスト」のテーマ曲。

*3 : 抱えるようにして吹く大きな低音楽器。基本的に金属のため太陽光があたると無茶苦茶熱い。

OK キャンセル 確認 その他