2016/03/23(水)第14回「今、そこにいる僕ら」「ジエンドオブノスタルジア」(十兵衛ちゃん ラブリー眼帯の秘密)
サークル名:狭山組 (Homepage) 作者:サヤマユキヒロさん
ジャンル:十兵衛ちゃん ラブリー眼帯の秘密 購入イベント:コミックマーケット75(2008.12.28)
傾向:1と2、それぞれの後日談。回想とほんのり片思いと親馬鹿と。
※今回は「十兵衛ちゃん」シリーズのネタバレをちょろっと含みます。
10年前にテレビ東京系深夜枠で放送されたアニメ「十兵衛ちゃん」。2代目柳生十兵衛が実は「ぽちゃぽちゃのぷりんぷりんのぼんぼーん」だったという奇抜な設定から始まった作品は大地丙太郎監督の指揮により時には友情もの、時にはバトルもの、時には家族ものにと様々な姿を見せ、人気を博していました。同人誌界隈ではというと関東ローカルということもあってかあまり盛り上がりを見せなかったものの、根強く執筆される方もおり今なお続くジャンルとなっています。今回は「狭山組」というサークルさんの作品をご紹介。
「ジエンドオブノスタルジア」は1の、「今、そこにいる僕ら」は2(シベリア柳生の逆襲)のアフターストーリーで、前者は十兵衛と竜乗寺一族の遺恨が決着した後、取り壊されている竜乗寺邸を前にかつての当主・ハジメとその配下・御影が様々なことを振り返ったり、今を見つめるお話で、後者は十兵衛の忘れ形見・フリーシャとかつての敵であり現在は郵便配達のお兄さんな喜多歩郎が、十兵衛の想い出を話しつつもじゃれ合うというお話。それぞれ後日談ということもあり、本編のようなどんでん返しもなくほのぼのとしたお話に仕立てられています。竜乗寺一族の恨み辛みを一手に背負っていたハジメは狡猾さをちょろっと見せながらも丸くなっていますし、御影も2との合間ということですっかり優しく。かと思えば、フリーシャは相変わらずツンツンで喜多歩郎は不器用といった風に噛み合ってなかったり(一方的にフリーシャがいじってるとも言う)と、発展してるところもあればしてないところもあるという「彼ららしさ」が随所で見られるのが楽しいです。
個人的にツボだったのは「今、そこにいる僕ら」での菜ノ花家の家長・彩の親馬鹿っぷり。丁寧にご挨拶に来た喜多歩郎を邪険にし、用件を聞いた途端殴打一閃。2の後日談ということで主人公・自由だけでなくフリーシャの親代わりにもなった親馬鹿・彩としてはそんな挨拶は許せないんでしょうなぁ……しかも、喜多歩郎はちゃんとわかってないまま挨拶に行ったような感じと、まさに不器用な彼らしさ全開。それを彩が聞いたら左頬だけじゃ済まないぞと思ってしまったり。こういう感じに平和だったりドタバタな後日談が展開されていくのも、原作を愛する方々ならではの発想だなと改めて感じました。