2016/03/30(水)第20回「新剣銃士フランスファイブ 日本限定版超大全集」(特撮)
タイトル:新剣銃士フランスファイブ 日本限定版超大全集
サークル名:黒漫画党
作者:工藤稜さん、TDK ROTTERDAMさん、ファイト吉晴さん、平木直利さん、さいさいさん
耕平さん、Sebastien Desarmauxさん、Alex Pilotさん
ジャンル:評論・特撮 購入イベント:コミックマーケット67(2004.12.30)
傾向:「新剣銃士フランスファイブ」解説本
戦隊物といえば、日本における子供たち・大人たちにとっての定番作品。本家本元のテレビ朝日系での戦隊物もあれば、派生作品もメジャーなものから「愛國戦隊大日本」のような自主制作のものまで様々あり、様々なクリエイターに影響を与えていることが伺えます。海外でも本家戦隊物をモチーフにしたアメリカの「パワーレンジャー」が有名ですが、アマチュアムービーとして「愛國戦隊大日本」に影響され制作されている「新剣銃士フランスファイブ」という作品があります。詳しい内容などはWikipediaや公式サイトに譲るとして、今回は戦隊物のお膝元・日本で制作された本作の「大全集」を紹介いたします。
日本でも子供向けに戦隊物の大全集が存在し、カラーをふんだんに使ったりカタカナにも平仮名のルビを振ったりという傾向がありますが、こちらの大全集もそれを踏襲しカラーページにて主人公たちや敵組織の紹介があったり、本文の扉から数ページはフランスファイブや敵の勇姿を交えたルビをふんだんに使ったコミカルなシーンが展開されたりと、大人になった今としては昔懐かしの趣向が凝らされていて興味が惹かれる始まりとなっています。
全話エピソードや名場面の紹介、監督からのメッセージや制作秘話などの解説本としてツボを押さえた要素はもちろんのこと、各出演者・スタッフのアンケート回答や小説、補足テキストといった読み物まで大変充実しているのが嬉しいところ。巻頭の主人公紹介では必殺技や作中でそれぞれの人物が活躍しているシーンが惜しげもなく使用され、作品の魅力を余すところ無く伝える巧みな構成が光っています。また、表紙をめくれば表に主人公たち5人が中心の写真、裏に敵幹部・エクスタシーの艶めかしい写真を使用した綴じ込みポスターが封入されているというおまけまで用意されているという凝りよう。まさにいたれりつくせり。
もちろんそういったところも見所なのですが、個人的に一番興味深かったのは制作者アンケートの回答。制作者の方々それぞれがどういったきっかけで「フランスファイブ」に関わったかといったものから日本に関することなど、作品に対する愛情や日本に対するリスペクトなどが隅々から感じられました。元々「フランスファイブ」は監督のAlex Pilot氏を始めとした方々が日本の文化に触れ、そのリスペクトの結晶として制作された作品。そして、作者欄にもあるように日本の様々な方々が関わり、作品だけではなく制作者の方々への愛情が込められたのがこの一冊。日本のファン側だけではなく、フランスの制作者側にとっても「フランスファイブ」という作品に対するリスペクトの結晶ともいえる一冊なのではないでしょうか。
なお、原作は2013年現在各動画サイトに投稿されており、ニコニコ動画でも日本語字幕で視聴することが出来ます。本編も2013年5月にエピソード全6本にて完結。特撮、そして戦隊モノに対する愛情がたっぷり詰まったシリーズです。